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第2回 税金に関わる「年収の壁」はこれがポイント(その1)


最近、「年収の壁」という言葉がすっかり有名になりましたね。

今年は、税制改正において税金に関わる「年収の壁」、5年に一度行う年金制度改革においても社会保険に関わる「年収の壁」が話題になっています。

第2回から第4回までのブログで、103万円や106万円などの「年収の壁」がどんなもので、どう変わるかについてできる限り分かりやすく説明していきます。

1. 税金に関わる「年収の壁」と社会保険に関わる「年収の壁」

疑問点

・そもそも「年収の壁」とは何か?

・103万円、106万円、130万円、150万円など、いったい何が違うのか?

・税金と社会保険に関わる「年収の壁」が紛らわしくて、よく分からない

無理もないと思います。とてもややこしいと思います。

いっしょに議論されると、非常に分かりにくいですよね。

2. 税金に関わる「年収の壁」

第2回、第3回は、「年収の壁」のうち、税金に関わるものをとりあげます。

今回のポイント

・税金に関わる「100万円の壁」「103万円の壁」とは何か?

・税制改正により、どう変わるのか?

・手取りを増やすためにはどうしたら良いのか?

忙しい皆さんのために、できる限り分かりやすい説明を心がけていきます。

3. パート、アルバイトで働く本人の税金に関わる壁

(1)「103万円の壁」とは何ですか(所得税の壁)

パート、アルバイト等の給与を得て働く人は、給与収入の金額から必要経費である給与所得控除を差し引いた給与所得から基礎控除などの所得控除を差し引いて課税所得を計算します。

この課税所得金額がプラスであれば、税率をかけて所得税額を計算することになります。

以下の図を参照してください。

つまり、これまでの制度では、給与を得て働く人は、基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円をあわせた103万円を年収が超えると所得税を納める必要が出てきます。

これが「103万円の壁」と呼ばれていたものです。

2025年3月に成立した税制改正関連法では、2025年から、年収200万円以下の人は基礎控除を現行の48万円から95万円に、給与所得控除の最低保障額が現在の55万円から65万円に引き上げられます。

以下の図を参照してください。

(2)「100万円の壁」とは何ですか(住民税の壁)

自治体によって金額の基準が少し異なりますが、単身者の場合、年収100万円を超えると住民税を納める必要が出てきます。

年収100万円の壁は、自分に住民税がかかるかどうかの壁ということになります。

税制改正により、住民税の給与所得控除の最低額も55万円から65万円に引き上げられます。

なお、住民税非課税世帯は、各種の給付金の対象となったり、子育て、医療、介護サービスの負担減などのメリットがあります。

4. 以上のような壁の手取りへの影響

パート、アルバイトの年収が「100万円(今後は110万円)の壁」を超えると、住民税が税率10%でかかります。

さらに、「103万円(今後は160万円)の壁」を超えると、所得税が最低税率5%(課税所得金額が195万円以下の場合)でかかり始めます。

残りは手取りとなり、年収に対する手取りの比率は悪化しますが、手取りの額自体は増えていきます。

しかし、以下のような点は注意しないといけません。

(1)アルバイトなどをする子などを扶養する親の税金に関わる影響

アルバイトなどの収入増により、親の納税において特定扶養控除(所得税63万円、住民税45万円)が適用されなくなる場合の世帯全体の手取りへの影響

→第3回で説明します。

(2)パートなどで働く本人の社会保険料の負担に関わる影響

パートなどの年収が106万円、130万円の壁を超えた場合の社会保険料の負担に伴う本人の手取りへの影響

→第4回で説明します。

(3)パートなどで働く方の配偶者の手当が支給停止となる場合の影響

パートなどで働く方の収入増により、その夫などの配偶者が会社から支給される手当(例えば「配偶者手当」)が支給停止となることがあります。

各会社の任意の制度ですので、それぞれの会社に確認する必要があります。


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