特定技能制度の全体像として全ての特定技術分野に共通した制度の基本について説明してきましたが、今回は、入管庁への届出制度について説明します。
特定技能制度の大変さの一つに極めてたくさんの届出が求められていることがあります。
また、届出書の様式も頻繁に変更になるので、入管庁のWebサイトをしっかりフォローしておく必要があります。
適切な届出を行わなかった場合の罰則も厳しいです。
年に一度行う定期届出、届出が必要な事由が発生したときに行う随時届出の2種類があります。順番に説明していきましょう。
なお、登録支援機関とは、契約により委任を受けて適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務を行う者で、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができます。
登録支援機関は、技能実習の監理団体とは異なり、法人形態に制限はなく、また、個人であっても登録することができます。
1. 定期届出
特定技能所属機関と登録支援機関の定期届出の頻度と届出書の様式が2026年4月以降の提出分から変更になります。
定期届出の提出は、
(当年)4月1日~(翌年)3月31日
の対象期間中に在留資格「特定技能」を有する外国人と雇用契約関係があった場合に、
(翌年)4月1日~(翌年)5月31日
の提出期間内に提出が必要となります。
雇用契約関係があれば実際の就労がない場合でも、定期届出は必要です。
ちなみに、定期届出は、従来は年に4回の提出が必要だったのですが、2026年4月から1年に1度の提出に変更となりました。画期的に業務負担が減ったと思います。
また、定期届出の書類の様式についても、従来は「受入れ・活動状況に係る届出書」と「支援実施状況に係る届出書」が別だったのですが、2026年4月以降の提出分から統合されて以下の「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」(参考様式第3-6号)になりました。
また、登録支援機関も、従来は特定技能所属機関とは別に「支援実施状況に係る届出書」で届出を行わなければならなかったのですが、2026年4月以降の提出分から、以下の「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況」(参考様式第3-6号 別紙1)で特定技能所属機関と連名で届出を行えばよいことになりました。
定期届出の書類の様式
・受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書 (参考様式第3-6号)
・特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況 (参考様式第3-6号 別紙1)
・受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(署名欄)(参考様式第3-6号 別紙2)
最新の様式は入管庁のWebサイトで見ることができます。
参考様式第3-6号本体では、特定技能外国人の実労働日数、実労働時間数、現金給与額、賞与・期末手当等特別給与額、昇給率等について、受け入れている特定技能1号外国人の全員、特定技能2号外国人の全員の各平均値を記載します。
参考様式第3-6号別紙1では、個々の特定技能外国人毎の氏名、国籍、在留カード番号、受入れ分野、活動日数の総数、報酬の支給総額、支援実施状況等について、記載します。
参考様式第3-6号別紙2では、支援の実施を複数の登録支援機関へ委託している場合のために各登録支援機関の署名できる欄があります。
これらと一緒に添付書類として、特定技能所属機関は、以下の【特定技能所属機関に関する添付書類】を提出しないといけないのですが、当該機関が一定の条件を満たす場合は不要になります。
この一定の条件については、「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出 (定期届出)作成要領」のP16をご覧ください。
特定技能所属機関に関する添付書類
・特定技能所属機関概要書
・中長期在留者の受入れ実績等に関する資料
・登記事項証明書
・役員等の住民票の写し、役員に関する宣誓書
・労働保険料・社会保険料の納付に係る資料
・納税証明書
・法人住民税又は個人住民税納付に係る資料
等
特定技能所属機関が、定期届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、その内容によって、30万円以下の罰金、あるいは10万円以下の過料に処せられます。前者の罰金の場合は、両罰規程があり、行為者を罰するほか、その法人等に対しても罰金刑が課されます。
また、受入機関適合性(契約適正履行確保基準)に不適合となり、在留資格該当性がなくなり、特定技能外国人を就労させることができなくなります。
この状態で、特定技能外国人を就労させている場合は不法就労助長罪が成立します。
さらに、受入機関適合性に係る欠格事由(入管法2条の5第3項1号、特定技能省令2条1項4号リ(9))に該当するために、5年間、特定技能外国人の受入れが認められなくなります。
登録支援機関が、定期届出をしなかった場合は、登録の取消しの対象となります。
登録が取り消されれば、登録拒否事由(入管法19条の26第1項7号、8号)に該当するために、5年間、登録支援機関となることが認められなくなります。
2. 随時届出
(1) 特定技能所属機関が行うことが必要な随時届出
届出が必要な事由が発生したときに、特定技能所属機関が入管局に提出する随時届出として、以下のようなものがあります。



例えば、特定技能外国人が退職した場合は、Ⅰ.(2)の③の特定技能雇用契約に係る届出書(参考様式第3-1-2号)に加えて、状況に応じて、①②の受入れ困難に係る届出書(参考様式第3-4号)を14日以内に提出します。
参考様式第3-4号は、特定技能所属機関の都合により受入れ困難となった場合は、経営上の都合、基準不適合、個人事業主の死亡等から該当する事由を選び、特定技能外国人の都合により受入れ困難となった場合は、死亡、病気・怪我、行方不明、重責解雇等から該当する事由を選んで届け出ます。
あわせて、届出事由が1か月以上の活動未実施である場合は参考様式第5-14号、特定技能外国人の行方不明の場合は参考様式第5-15号、その他の事由の場合は参考様式第5-11号を届け出ます。
なお、特定技能外国人が自己都合退職をする場合は、参考様式第3-4号の届出は不要で、第3-1-2号のみの届出で済みます。
また、社会保険料や税金の未納の放置、労基法、安衛法等の違反をはじめ労働関係法令、社会保険関係法令及び租税関係法令を遵守していないこと、非自発的離職者を発生させたことなど、特定技能基準省令第2条(第1項各号又は第2項各号)に掲げる基準不適合が発生したときは、認知から14日以内に基準不適合に係る届出書(参考様式第3-5号)を提出する必要があります。
特定技能所属機関が、随時届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、その内容によって、30万円以下の罰金、あるいは10万円以下の過料に処せられます。前者の罰金の場合は、両罰規程があり、行為者を罰するほか、その法人等に対しても罰金刑が課されます。
また、受入機関適合性(契約適正履行確保基準)に不適合となり、在留資格該当性がなくなり、特定技能外国人を就労させることができなくなります。
この状態で、特定技能外国人を就労させている場合は不法就労助長罪が成立します。
さらに、受入機関適合性に係る欠格事由(入管法2条の5第3項1号、特定技能省令2条1項4号リ(9))に該当するために、5年間、特定技能外国人の受入れが認められなくなります。
(2) 登録支援機関が行うことが必要な随時届出
次に、届出が必要な事由が発生したときに、登録支援機関が入管局に提出する随時届出として、以下のようなものがあります。

登録支援機関が、随時届出をしなかった場合は、登録の取消しの対象となります。
登録が取り消されれば、登録拒否事由(入管法19条の26第1項7号、8号)に該当するために、5年間、登録支援機関となることが認められなくなります。
3. 行政書士等の専門家への相談
特定技能所属機関が定期届出、随意届出を適正に履行していない場合は、届出を怠ったことの罰則のみならず、特定技能外国人を就労させることができなくなり、その状態で、特定技能外国人を就労させている場合は不法就労助長罪の罰則もかかります。
さらに、欠格事由に該当するために、その後の5年間、特定技能外国人の受入れも認められません。
届出手続きを適切に行っていないと受入れ企業等への被害は甚大なものとなります。
また、登録支援機関や人材派遣会社等が、特定技能所属機関が行う届出を対価を得て代行するのは違法行為です。
コロナ禍において、行政書士でない者が補助金等の代理申請を行い、多額の報酬を受け取っていた悪質な事例が多発しました。
このため、2026年1月から施行された改正行政書士法により、「会費」、「手数料」、「コンサルタント料」、「商品代金」等のどのような名目であっても、対価を受領し、業として官公署に提出する書類等を作成することは、行政書士法に違反することが明確化され、違反者やその所属法人に対して罰金刑が科せられることとされました。
特定技能に関する届出等の対応は非常に重要であり、困ったときは、入管業務に詳しい行政書士、弁護士に相談しましょう。