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第3回 よくわかる、ものづくり補助金!


中小企業向けの補助金は、経産省の中小企業庁、中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が目的に応じて、様々な補助金メニューを準備しており、非常に充実しています。

中小機構では、これらの補助金活用を支援するために、「補助金活用ナビ」というWebサイトを運営しており、目的に合った補助金を見つけるために有益な情報を得ることができます。

「超よくわかる人気の補助金特集」(第2回)として、今回は、その中から「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)」を取り上げます。

1. ものづくり補助金の目的

ものづくり補助金は、令和2年3月から始まった補助金で、中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援するものです。

中小機構が2025年10月に公表した「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第22次公募要領概要版」の資料がとても分かりやすいです。

そこで、これらの資料から大事なポイントを引用しながら、説明していきます。詳細は、補助金公募要領をごらんください。

ものづくり補助金には、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の二つの種類があります。それぞれ以下のような目的を持っています。

ものづくり補助金の目的

①製品・サービス高付加価値化枠
→ 新たな価値を提供することを目的に自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを支援

②グローバル枠
→ 海外需要開拓を行う事業、具体的には、そのために国内の生産性を高める事業を支援
例えば、
1)海外への直接投資
2)海外市場開拓(輸出)
3)インバウンド対応
4)海外企業との共同事業

2. 補助金の対象者

 新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を行う以下のような中小企業、小規模事業者等が対象です。

「中小企業」及び「特定事業者の一部」に係る資本金(資本の額又は出資の総額)又は常勤従業員数の基準については、前回ご説明した新事業進出補助金における基準と同じです。

また、「小規模企業者・小規模事業者」については、以下のような基準になっています。その他に、企業組合、協業組合、商工組合等の組合も補助対象者になります。

・製造業、その他   常時使用する従業員の数が20人以下の会社又は個人
・商業・サービス業  常時使用する従業員の数が5人以下の会社又は個人
・宿泊業・娯楽業   常時使用する従業員の数が20人以下の会社又は個人

なお、本補助金の申請締切日を起点に16か月以内に、新事業進出補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金に交付候補者として採択された事業者、または申請締切日時点にこれらの補助金の交付決定を受けて補助事業実施中の事業者は補助対象外となります。

また、日本国内に本社及び補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有し、応募申請時における常時使用する従業員の数が1人以上である必要があります。詳細は、補助金公募要領をごらんください。

3. 補助上限額と補助率

補助上限額と補助率は以下のとおりです。

表の中の大幅な賃上げ、最低賃金の引き上げによるそれぞれ補助上限額の上乗せ、補助率の引上げに関する特例要件については、4.(5)で説明します。

4. 補助対象事業の要件

(1) 基本要件

申請者は事業計画を作成し、補助金の申請を行い採択された場合は、交付決定通知を受けてから、補助事業実施期間で設備投資等を実施し、その後の事業計画期間(3~5年で申請者が決定可能)で付加価値額や賃金等を増加させることが求められます。

補助事業実施期間は、「製品・サービス高付加価値化枠」は、交付決定日から10か月(ただし採択発表日から12か月後の日まで)です。「グローバル枠」は、交付決定日から12か月(ただし採択発表日から14か月後の日まで)です。

先ず、「製品・サービス高付加価値化枠」には、以下のような基本要件があります。

次に、「グローバル枠」の申請をする場合は、上記の基本要件に加え、4つのグローバル要件のいずれかに該当し、かつ海外事業に関する実現可能性調査の実施、及び社内に海外事業の専門人材を有すること、又は海外事業に関する外部専門家と連携することが要件となります。

詳細は、補助金交付要領をごらんください。

(2) 基本要件①~③に関する留意事項

基本要件①~③については、申請者自身で設定した目標値を達成する必要があります。

事業計画策定にあたって、(1)の基準値以上の目標値を設定します。

①②については、事業計画最終年度において目標値を達成する必要があります。

③については、事業計画期間中、毎年、目標値を達成する必要があります。

申請者自身で設定した目標値のうち、②、③については、全ての従業員又は従業員代表者、役員に表明する必要があります。

交付申請時までに表明がされていなかった場合、交付決定の取消し、補助金返還を求められます。

また、②、③については要件を達成できない場合に、その達成ができなかった程度に応じて、補助金返還を求められます。

第22次公募要領概要版によると、第20次ものづくり補助金採択者の付加価値額と給与支給総額、事業所内最低賃金の目標値の中央値は下記のとおりです。

高めの目標を設定することで、採択評価においてプラスに評価されますが、達成できない場合は補助金返還の義務がありますので、達成可能性をしっかり検討して目標を立てる必要があります。

第20次採択者の各目標値の中央値

・付加価値額の年平均成長率目標値の中央値 11.2%
 (第20次要件:+3.0%以上)
・給与支給総額の年平均成長率目標値の中央値
 従業員 5.6%、役員 4.0%
 (第20次要件:+2.0%以上)
・1人あたり給与支給総額の年平均成長率目標値の中央値
 従業員 4.0%、役員 4.0%
 (第20次要件:
 都道府県別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上)
・事業所内最低賃金増額目標の中央値
 都道府県別最低賃金に+40円
 (第20次要件:
 都道府県別最低賃金に+30円以上)

(3) 基本要件①②の目標の達成イメージ

①については、事業者全体の付加価値額の年平均成長率を+3.0%以上にする目標値である「付加価値額目標値」として設定し、事業計画期間最終年度において当該目標値を達成することで要件達成となります。

ここで、年平均成長率は、CAGRで計算する必要があることに注意が必要です。

CAGRは銀行金利の複利計算と同じと考えれば良いですが、以下の計算式で計算されます。

補助事業完了後に補助金の額の確定に至った日を含む事業年度を事業計画の1年目とし、その直前の事業年度を基準年度とし、基準年度と事業計画最終年度の間のCAGRで判断します。

CAGRの計算式

CAGR(%)=[(事業計画最終年度の数値 ÷ 基準年度の数値)^ { 1 ÷ 年数 }-1]×100

なお、「^」は「べき乗」、
年数は、事業計画最終年度-基準年度

ものづくり補助金総合サイト」に「CAGR算出ツール」があるので、それでも計算できます。

②については、従業員と役員のそれぞれについて、「給与支給総額目標値」及び「1人あたり給与支給総額目標値」を設定します。

事業計画期間最終年度において少なくともいずれか一方の当該目標値を達成することで要件達成となります。要件達成・要件未達成のパターンは以下のア~エのとおりです。

注意すべき点として、「給与支給総額目標値」と「1人あたり給与支給総額目標値」が目標達成となるには、それぞれ従業員と役員の両方の目標値を達成している必要があります。

従業員と役員のどちらか一方でも目標値に達していない場合は、目標未達成となります。

要件達成・要件未達成のパターン

ア 給与支給総額:目標達成、
 1人あたり給与支給総額:目標達成
 →要件達成
イ 給与支給総額:目標達成、
 1人あたり給与支給総額:目標未達成
 →要件達成
ウ 給与支給総額:目標未達成、
 1人あたり給与支給総額:目標達成
 →要件達成
エ 給与支給総額:目標未達成、
 1人あたり給与支給総額:目標未達成
 →要件未達成

(4) 基本要件②と③の未達成の場合の返還

基本要件②の賃金の増加要件が未達の場合は、つまり、上記のエの3~5年の事業計画期間最終年度において、「給与支給総額」、「1人あたり給与支給総額」のいずれの目標値も達成できなかった場合、補助金交付額に達成度の高い目標値の未達成率を乗じた額の返還を求められます。

基本要件③の事業所内最低賃金水準要件が未達の場合は、3~5年の事業計画期間中、毎年3月末時点において、事業所内最低賃金目標値が達成できなかった場合、補助金交付額を事業計画期間の年数で除した額の返還を求められます。

(5) 特例措置要件

「大幅な賃上げによる補助上限額の引上げ」と「最低賃金引上げに係る補助率引上げ」の2つの特例があり、概要は以下のとおりです。なお、この2つの特例は併用できません。

「ア 大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例適用要件」については、1)従業員及び役員の給与支給総額の年平均成長率を6.0%以上増加、かつ、2)事業所の最低賃金を事業実施都道府県の最低賃金より+50円以上アップすることが要件です。

申請者は、事業計画策定にあたっては、これらの基準値以上の目標値を自身で設定して、達成する必要があります。

1)の従業員及び役員の給与支給総額については、事業計画最終年度において目標値を達成する必要があります。

2)の事業所内最低賃金については、事業計画期間中、毎年、目標値を達成する必要があります。

(1)の基本要件と同様に、申請者自身で設定した目標値のうち、アについては、全ての従業員又は従業員代表者、役員に表明する必要があります。

交付申請時までに表明がされていなかった場合、交付決定の取消し、補助金返還を求められます。

また、1)給与支給総額、又は、2)事業所内最低賃金の目標値のいずれか一方でも達成できなかった場合は、各補助対象事業枠の補助上限額との差額(上乗せ分)に加え、補助金交付額から上乗せ分を差し引いた額に未達成率を乗じた額の返還を求められます。

「イ 最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件」についても、以下をごらんください。詳細は、補助金交付要領をごらんください。

5. 補助対象経費

補助対象経費は以下のとおりです。詳細は補助金交付要領をご覧ください。

6. 審査項目及び加点項目

審査項目は以下のとおりです。

また、経営革新計画の承認、パートナーシップ構築宣言の実施、(連携)事業継続力強化計画の取得、くるみん認定の取得、地域別最低賃金引上げに係る加点、事業所内最低賃金引上げに係る加点等から最大6項目について加点の申請を行うことが可能です。

詳細は補助金交付要領をご覧ください。

7. 事業計画の作成と申請について

ものづくり補助金は電子申請で申請を行います。補助金に応募する事業者は、自らの事業計画を電子申請システムに入力するとともに、決算書等の書類を提出します。

事業計画は、「ものづくり補助金総合サイト」に掲載されている事業計画書の記載項目をまとめた参考様式も参考に作成してください。

第22次の公募が2025年10月24日から開始され、申請の締切が2026年1月30日(金)17:00となっています。

補助金申請書類作成に当たっての支援業務は、行政書士に依頼することができます。

なお、コロナ禍において、行政書士でない者が補助金等の代理申請を行い、多額の報酬を受け取っていた悪質な事例が多発しました。

2026年1月から施行された改正行政書士法により、「会費」、「手数料」、「コンサルタント料」、「商品代金」等のどのような名目であっても、対価を受領し、業として官公署に提出する書類、図面類を作成することは、行政書士法に違反することが明確化され、違反者やその所属法人に対して罰金刑が科せられることとされました。

悪質な補助金コンサルタント等にはくれぐれもご注意ください。

なお、「ものづくり補助金総合サイト」では、これまでの公募の採択結果が公表されています。

それによると、4月25日から7月25日まで公募が行われた第20次公募においては、申請者数が2,453、採択者数が825となっており、採択率が約34%、その前の第19次公募においては、申請者数が5,336、採択者数が1,698となっており、採択率が約32%となっています。

3割以上の採択率がありますので、専門家に相談しつつ、しっかり準備をして臨めば、取得が可能な補助金ではないかと思います。

新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等にものづくり補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。


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