基幹的農業従事者数は過去40年で急激な縮小を続けています。
農林水産省の統計「農林業センサス」によれば、1985年に346万人だった従事者数は2025年には102.1万人となり、70.5%も減少しています。
高齢化も極めて顕著で、2025年の農業従事者102.1万人のうち、70歳以上が56.2万人と55.0%を占め、65歳以上は69.5%に達しています。
今後10年で65歳以上がリタイアした場合、現在の農業従事者数は31万人程度にまで減ってしまいます。
一方で、新規就農者は年々減っており、2023年は4.3万人しか増加しておらず、トータルで基幹的農業従事者の数は急減していくことになります。
今後の日本の食糧は誰が生産するのでしょうか。世界的な人口増加による食糧不足で海外からの輸入もあまり増やせないかもしれません。農作業の機械化にも限界があります。
やはり、農業も外国人労働者、特定技能に頼らざるを得ないのではないでしょうか。
今回は日本の食糧危機を救う最後の希望である特定技能農業を解説します。
いつものように、在留資格該当性、上陸許可基準適合性と順番に説明していきます。
1. 在留資格該当性
在留資格該当性とは、外国人の方々が日本において行おうとする活動が、入管法別表第一の下欄に掲げる活動、又は別表第二の下欄に掲げる身分又は地位を有する者が行う活動のいずれかに該当することを求めるものです。
(1) 業務区分該当性
特定技能の業務について、いかなる技能を必要とするものであるかについては、特定技能分野等省令において、基本方針にのっとりそれぞれ分野に係る分野別運用方針及び運用要領で定める水準を満たす技能とすると規定されています。
基本方針では、特定技能外国人の雇用形態については、原則として、フルタイムとした上で直接雇用ですが、特定産業分野の特性に応じ、派遣形態とすることが必要不可欠なものである場合には、例外的に特定技能所属機関が派遣元となり、派遣先へ派遣を行う派遣形態を採用することを認めており、農業分野は数少ない派遣形態が可能な分野です。
つまり、農業分野での特定技能外国人の受入れ方法については、①農業者が受入れ機関(雇用主)として直接雇用する場合、②派遣事業者(派遣元)が受入れ機関となり、農業者(派遣先)が外国人材を派遣してもらう場合の以下の2つのパターンが可能です。
また、JA等が受入れ機関となり、特定技能外国人を雇用した上で、組合員等の複数の農業者から農作業等を請け負い、特定技能外国人にその複数の農業者の圃場等で業務に従事することもできます。

在留期間が通算5年の1号特定技能外国人については、①5年間連続して働いてもらう、②農閑期等には帰国し通算で5年になるまで働いてもらう、のどちらも可能です。
また、5年以内であれば、雇用期間が終わった後に、別の農業者と雇用契約を締結して働いてもらうことも可能です。
ただし、再入国許可による出国(みなし再入国許可による出国を含む。以下同じ。)で日本から出国する場合、出国中の期間が通算に含まれます。
このため、農閑期には母国に戻り、農繁期にまた受け入れる等、出国中の期間を通算に含めない場合は、各空港又は港で単純出国手続をする方法があります。以下の図のように、このような方法であれば、農繁期の半年間だけ働くとすると、毎年、特定技能の在留資格の申請が必要ですが、10年目まで働くことができます。
なお、この農繁期だけ働いて、クリスマスを前に帰国するという働き方はアジアの各国からの労働者の方々に意外に歓迎されているようで、韓国はこのような農業季節ビザでラオスから年1.7万人もの労働者を受け入れるという話を聴きました。
韓国も日本と同様に農業分野で深刻な人手不足の問題を抱えていると思いますが、韓国の方が積極的に受入れを拡大しているようです。

主たる業務に関しては、1号特定技能外国人については、耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)又は畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)に従事することが必要です。
2号特定技能外国人については、耕種農業全般又は畜産農業全般及び当該業務に関する管理業務に従事することが必要です。
なお、1号、2号ともに、その従事する業務に、栽培管理又は飼養管理の業務が含まれていることが必要です。
また、1号、2号ともに、これらの業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業等)に付随的に従事することは差し支えありません。
また、農業者(農家・農業法人)に雇用される場合(特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)が受託して行う業務でも雇用可能)のほか、特定技能外国人が主として従事する業務(①耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)又は②畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等))を自ら行う、農業者から請け負って行う、農業者等を構成員とする団体(JA、 酪農ヘルパー利用組合、コントラクター組織等)に雇用されて業務に従事することも可能です。
(2) 受入機関適合性
受入機関適合性、すなわち、適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準及び適合1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準については、農業告示に以下を含む内容が規定されています。
ア 1号特定技能外国人を直接雇用する場合は、労働者を6月以上継続して雇用した経験又はこれに準ずる経験を有すること
イ 1号特定技能外国人を労働者派遣の対象とする場合にあっては、労働者を6月以上継続して雇用した経験を有する者又は派遣先責任者講習その他これに準ずる講習を受講した者を派遣先責任者として選任している者に当該外国人に係る労働者派遣をすることとしていること。
ウ 農林水産省が設置する農業分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会(農業特定技能協議会)の構成員であること。
2. 上陸許可基準適合性
農業分野において特定技能の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験に合格した者(2号特定技能外国人については、実務経験の要件も満たす者)となります。
(1) 1号特定技能外国人
農業分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、次のア及びイに定める試験に合格することが必要です。
ア 技能水準
次のいずれかの試験に合格することが必要です。
① 耕種農業全般又は畜産農業全般の農業特定技能1号評価試験
② 令和9年度から開始する育成就労からの切替ルートとして、育成就労終了までに、耕種農業又は畜産農業の主たる技能のそれぞれに該当する所定技術の育成就労評価試験(専門級)
(所定技術については農業運用方針の別表3を参照)
イ 日本語能力水準
「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の水準と認められるもの(日本語能力試験N4以上の合格等)
また、特定技能1号については、農業分野の技能実習2号を良好に修了した者については、必要な技能と日本語能力の各水準を満たしているものとして、技能試験及び日本語能力試験が免除されます。
なお、技能実習2号を良好に修了したとして技能試験の合格等の免除を受けたい場合には、技能実習2号修了時の農業技能評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の提出、あるいは、実習実施者が作成した技能等の修得等の状況を評価した文書の提出が必要です。
(2) 2号特定技能外国人
農業分野において特定技能2号の在留資格で受け入れる外国人は、次のア(ア) 及びイに定める試験に合格することが必要であり、かつ、ア(イ)に定める実務経験の要件も満たすことが必要です。
ア 技能水準
(ア)技能水準
耕種農業全般又は畜産農業全般の農業特定技能2号評価試験
(イ)実務経験
次のいずれかの経験を有することが必要です。
① 農業の現場において複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(職長)としての実務経験
② 農業の現場における実務経験
3. その他の注意事項
特定技能外国人が農業に従事する場合は、日本人が従事する場合と同様に、労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法の規定は適用除外となりますが(法41条該当者)、適用除外となるのは、労働時間、休憩及び休日に関する規定だけであり、深夜勤務における深夜割増賃金やその他の規定については適用除外にならないことに注意が必要です。